戸塚国語塾おすすめの本10選|中学受験で出題されたことのある作品から選ぶ読書案内
中学受験で出題されたことのある作品をご紹介
中学受験の国語では、文章を「なんとなく読む」のではなく、登場人物の心情、場面の変化、言葉にされていない思いを正確に読み取る力が求められます。
特に物語文では、出来事そのものよりも、その出来事によって人物の心がどのように動いたのかを読むことが大切です。うれしさ、不安、恥ずかしさ、後悔、あこがれ、孤独感。そうした複雑な感情を読み取る力は、普段から良質な物語に触れることで少しずつ育っていきます。
今回は、実際に中学受験の国語で出題されたことのある作品の中から、戸塚国語塾がおすすめする本を10冊ご紹介します。
入試問題として扱われる作品には、人物の心情変化が丁寧に描かれていたり、親子関係・友人関係・成長・葛藤など、小学生に考えてほしいテーマが含まれていたりするものが多くあります。
中学受験を考えているお子さまはもちろん、読書を通して語彙力や読解力、心の成長を育てたいご家庭にもおすすめです。
1. 森絵都『クラスメイツ』

中学1年生24人のクラスメイトたちを、それぞれ主人公として描いた連作短編集です。うれしい出会い、ささいなきっかけから生まれる仲違い、初めての恋のときめき、仲間はずれへの不安、自意識過剰な恥ずかしさなど、思春期の1年間が丁寧に描かれています。
子どもでもなく、大人でもない時期の揺れ動く心情が詰まっており、物語文の読解に必要な「人物の立場を想像する力」を育てるのにぴったりの一冊です。
2. 相沢沙呼『教室に並んだ背表紙』

中学校の図書室を舞台に、クラスへの違和感、未来への不安、同級生に対する劣等感など、思春期の心模様を繊細に描いた連作短編集です。
学校生活の中で感じる小さな孤独や、自分だけが取り残されているような感覚は、多くの子どもたちが経験するものです。この作品は、そうした言葉にしにくい気持ちを物語として受け止めさせてくれます。心情読解の練習としても、とても価値のある一冊です。
3. 宮下奈都『羊と鋼の森』

ピアノの調律に魅せられた一人の青年が、調律師として成長していく姿を描いた作品です。派手な事件が起こる物語ではありませんが、静かな文章の中に、仕事への向き合い方、人との出会い、少しずつ変わっていく心の動きが丁寧に描かれています。
中学受験の物語文では、直接的に説明されていない心情を読み取る問題がよく出されます。この作品は、人物の深い心情を味わいながら読む練習に最適です。
4. 水野瑠見『十四歳日和』

誰にも等しく訪れる「十四歳」という1年間。その中で、友情、恋、将来の夢、勉強など、さまざまな悩みに向き合う中学生たちの姿を描いた作品です。
思春期の心は、単純な一言では説明できません。うれしいのに不安、好きなのに素直になれない、頑張りたいのに逃げたくなる。そうした複雑な感情を読むことは、国語の物語文でも非常に重要です。受験生にぜひ読んでもらいたい一冊です。
5. 辻村深月『サクラ咲く』

成長とは、大きな飛躍だけではありません。小さな一歩を積み重ねていくことも、確かな成長です。この作品では、青春の苦しさや痛みが、やさしい筆致で描かれています。
ミステリーの要素もありながら、中心にあるのは登場人物たちの心の変化です。読後には、自分自身の努力や成長についても考えたくなるはずです。受験勉強に向き合うお子さまにも響く一冊です。
6. 森絵都『宇宙のみなしご』

家族を失った少年が、傷を抱えた仲間とともに「本当の居場所」を探して旅に出る物語です。怒り、さみしさ、切なさ、壊れかけた心に少しずつ灯る希望が描かれています。
森絵都作品らしく、読みやすい文章の中に、人の心の弱さやあたたかさが深く込められています。読み終えたあと、「自分にとって大切な人とは誰か」を考えたくなる、胸に響く一冊です。
7. 重松清『はるか、ブレーメン』

時を越えた心の交流を描いた物語です。単なる読書ではなく、登場人物の背景を想像しながら読む力が求められます。
入試でよく問われるのは、表面上の出来事ではなく、その奥にある「心の機微」です。この作品は、人物がなぜその言葉を選んだのか、なぜその行動を取ったのかを考える練習になります。記述問題に苦戦するお子さまにこそ読んでほしい一冊です。
8. 宮下奈都『つぼみ』

宮下奈都さんの作品は、心に静かに響くものがあります。『つぼみ』もまた、人が抱える不安や迷い、そして少しずつ前を向いていく姿が丁寧に描かれた作品です。
物語文の問題を作成するなら、宮下奈都さんの作品から選びたくなるほど、心情表現に奥行きがあります。直接的な説明に頼らず、行動や風景、会話から人物の気持ちを読み取る練習になります。
9. 朝比奈あすか『君たちは今が世界』

全受験生に読んでほしい一冊です。ひとりの立場に立って考えること、書かれていないことを想像すること、そして目の前の世界を自分なりに受け止めること。国語で大切な力が凝縮されています。
物語文が苦手なお子さまは、つい「何が起きたか」だけを追ってしまいがちです。しかし本当に大切なのは、「その出来事によって人物がどう感じたか」です。この作品は、その読み方を自然に身につけさせてくれます。
10. 辻村深月『この夏の星を見る』

コロナ禍による休校や緊急事態宣言。これまで誰も経験したことのない状況の中で、大人以上に複雑な思いを抱える中高生たちを描いた作品です。
リモート会議を通じて全国でつながっていく天文部の生徒たち。そこには、寂しさ、優しさ、あたたかさ、人と人とがつながることの意味が描かれています。時代性のある作品でありながら、普遍的な人間の感情にも触れられる一冊です。
読書は、国語力だけでなく心を育てる
今回紹介した10冊に共通しているのは、どれも登場人物の心の動きが丁寧に描かれていることです。
中学受験の国語では、語彙力や読解技術ももちろん大切です。しかし、それだけでは解けない問題があります。人物の立場を想像する力、言葉にされていない気持ちを読み取る力、出来事と心情を結びつける力。そうした力は、良質な物語に触れることで少しずつ育っていきます。
読書は、すぐに点数に直結するものではないかもしれません。けれど、文章を深く読む土台を作るうえで、これほど大切な習慣はありません。
ぜひ今回紹介した本の中から、お子さまに合いそうな一冊を選んでみてください。読み終えたあとに、「どの人物の気持ちが一番わかった?」「どの場面が印象に残った?」と親子で話してみるだけでも、立派な国語の学習になります。
戸塚国語塾では、これからも中学受験国語につながる読書や学習法を発信していきます。

